こんにちは!税理士の川畑です!

養子縁組が相続税対策となることがあります。

なぜなら、養子縁組をすることで相続人の数が増えることにより、基礎控除も増えるからです。

基礎控除が増えると、適用される相続税率が緩和される可能性が高くなります。

これが一番の原因ですね。

いずれにしても、相続税は相続人の数が多ければ多いほど節税に繋がるので、養子縁組は節税対策としては効果的なのです。

しかも、役所に書類を提出するだけで完了してしまうので、お手軽にできてしまいます。

だからと言って、安易にするのはお勧めしません。

養子縁組で争族発生!?

養子縁組をすることによって相続人同士で揉める火種となることがあります。

例えば、長男と次男の2人兄弟がいたとします。

この2人の親が節税対策として、長男の子(つまり孫)を養子縁組したとした場合どうなると思いますか?

相続人が増え、基礎控除も増え、適用税率も下がり、相続税も減らせてめでたしめでたし、で終わらないかもしれません。

1人損をする人がいます。

そう、次男ですね。

養子縁組をしなかった場合、次男の取り分は1/2でした。

しかし、養子縁組をしたことによって1/3となってしまいます。

長男も1/3ですが、果たして本当にそうでしょうか?

長男の子も1/3取り分がありますので、長男の家族は合計で2/3を相続することができるわけです。

不公平感が否めません。

実際に、「長男が勝手に仕組んだことで、養子縁組は無効だ!」と訴えているケースが多いようです。

養子縁組は無限にできるの?

「相続人が増えれば相続税対策になるのであれば、無限に養子縁組をしよう!」という発想になります(笑)

民法上はできますが、相続税法上は「待った!」が入ります。

相続税法上は、実子がいる場合は養子は1人まで、実子がいない場合は養子は2人までしかカウントされません。

先程の例で言えば、次男の子を養子縁組をしたとしても、争族対策にはなるかもしれませんが、相続税対策にはならないということですね。

養子縁組後の親権は誰のもの?

養子は、実親からも養親からも相続できるわけですが、親権は養親に移ります。

未成年者の場合は、養親が亡くなってしまうと、親権者が不在となり、未成年後見人を選任したり、親権を実親に戻す為の手続きが必要になりますので、大変です。

相続税の2割加算に要注意

兄弟姉妹や遺言で親族以外が相続する場合には、相続税が2割増しになってしまう規定があります。

従って、通常養子は2割増しにはなりません。

だから、婿や嫁などの子供の配偶者や、甥っ子姪っ子、友人知人などを養子にした場合は問題無いのですが、孫養子に限っては2割増しになってしまうので、注意が必要です。

養子縁組で相続税が高くなる場合

良かれと思ってやった養子縁組が原因で、逆に相続税が高くなることがあります。

配偶者も子も親もおらず相続人は兄弟姉妹となる場合です。

例えば、4人兄弟の長男が独り身だった場合を考えてみましょう。

長男に万が一があった場合は、相続人は3人となります。

しかし、「養子縁組は節税になる」とだけ思いこみ、次男の子(甥っ子)を養子にしてしまうと、相続人は1人となり、相続人数が減り基礎控除も減ってしまい、相続税が高くなってしまいます。

まとめ

養子縁組は簡単に相続人の数を増やすことができ、即効性のある節税対策ですが、注意点がいくつもある制度です。

節税だけに心を奪われるのではなく、まずは残された相続人同士が仲違いせず、残された人生を気持ちよく過ごせる方法を検討することが一番大切ではないでしょうか。

私は、勘定よりも感情を大切にできる税理士になりたいと思い、日々研鑽しております。